理事

モハメド・バシル
Mohamed Bashir
モハメド・バシル
【自己紹介】
はじめまして。私はモハメド・バシールと申します。1977年生まれの男性です。私はスーダンの首都・ハルツームの南部にあるアルジャジーラ州で生まれ育ちました。アルジャジーラ州は、農業で最も有名なところです。私が生まれた頃は、若い人も農業から離れないようにと、教育を受けられない状態にありました。特に、基礎教育の小学校レベルを受けたとしても、その後進学する人は非常に少数でした。農業は市民にとって欠かせない仕事であり、またスーダン自体その地域の収穫作物に完全に頼っていたため、人々は農業から離れられない状態でした。しかし他の職業と同様に、この主要な産業である農業であっても、それに従事する障害者はほとんどいません。

障害者に関して言えば、社会全体で障害者に対しての理解が不十分なため、社会に出て活躍する障害者はほとんどみられないのが現状です。ほとんどの障害者は教育を受けられず、もちろん仕事もないため、自ら行動しようとしていません。率直に言えば、障害者全体が大変な状況におかれています。特に、障害を持っている女性たちは、男性障害者と比べても教育の機会を与えられておらず、非常に厳しい状況におかれています。

私は、11歳までは目が見えていたので、最初は地域の小学校に入りました。しかし、小学校4年生の終わり頃、病気が原因で私の視力は3、4ヶ月で完全に失われてしまいました。病院に通い始め、眼の手術を2回受けさせられ、学校も行けないまま1年が過ぎてしまいました。その後、地域の学校で勉強を続けるには受けいれられにくい状況にあったため、私の両親は非常に悩まされました。

スーダンでは、基本的に障害者は一般の学校では受け入れられないので、イスラム教の学校「宗教学校」に通わされます。しかし幸運にも、私には運命の出会いがありました。知り合いから盲学校を紹介していただいたのです。それが、私の人生の第1の転換期でした。私は盲学校に入り、最初の3か月で点字と歩行訓練などを習いました。そして、中学部を卒業するまで、盲学校に行くことができました。スーダンには高等部の盲学校がないため、盲学校の卒業生が全員通常の学校に通わなければなりません。卒業後、私は地元に戻り、地域の高校に入りました。私は、カセットテープを使って勉強することが苦手なため、点字を使っていました。しかし、高校と大学の勉強量は膨大な

ため、どうしても必要な部分だけ点字でメモを取り、ほとんどの教材は、家族や友達に読んでもらい勉強してきました。そのような環境は、視覚障害者にとって非常に困難な状況のため、勉強を続けられずに途中で止める人も少なくありません。 私は、高校卒業後ハルツーム大学の法学部へ進学しました。そして2000年、国際視覚障害者援護協会のプログラムで日本にやってきました。それは、2番目の人生の転換期でした。日本では、視覚障害があること以前に、最初は日本語がまったく分からなかったため、コミュニケーションをとることができませんでした。その間、東京で日本語の授業や歩行訓練を2、3か月受けました。その後、日常的な日本語も分からないまま、京都府立盲学校に入学しました。授業では専門用語が多く用いられていたので、理解することが大変でした。少なくとも1学期が終わるまで、私は自分がお客様であるかのように感じていました。しかしその後、私は4年間かけて按摩マッサージ鍼灸を勉強し、免許を取得することができました。私にとって、これは決して簡単なことではありませんでした。その後、京都市内にある京都盲人センターでマッサージの仕事をしてきました。

そして、2008年4月、私は大学院生として立命館大学社会学研究科に入学することができました。大学では、日本の障害者雇用促進に関する法律について研究し、スーダンの障害者雇用状況の改善のために努力し続けています。 現在は妻と娘と一緒に暮らしています。

障害者問題を考えるとき、先進国の日本で蓄積された技術は、スーダン、ひいては発展途上国の障害者にとって極めて重要なものです。私は修士課程を卒業した後、博士課程に進むことを考えています。そして、国に帰って日本で学んだことを活かすための方法を、追究したいと思います。

しかし、スーダンの障害者が抱えている問題はとても多く、個人で解決するには限界があるように思います。そこで現在、日本にいるスーダンの障害者「4人の視覚障害者」と日本人の友人たちと共に、スーダン障害者教育支援の会"Committee for Promoting and Assisting Education of the Disabled in Sudan(CAPEDS)"を設立するに至ったのです。簡単ではないと思いますが、スーダン障害者の発展の土台となるような組織をつくっていきたいと思います。

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