<序文>
モハメド オマル アブディン
みなさま、こんにちは。スーダン障害者教育支援(CAPEDS)の会の代表を務めております、東京外国語大学修士1年、モハメド・オマル・アブディンと申します。
私が母国スーダンを離れて、早9年が経とうとしています。人生の3分の1を過ごした日本で、素晴らしい仲間たちとこの会を立ち上げられたことを、心よりうれしく感じています。
そして、今日ここに私たちスーダン障害者教育支援の会(CAPEDS)最初の出版物『CAPEDS、その門出に』を発行する運びとなりました。
最初の出版物ということで、何を載せるか、どのように私たちの会を伝えればよいのか、メンバーと共に大変迷いました。そしてやはり、私たちがなぜこの会をつくることにしたのか、私たちの原点と、立ち上げに関わったメンバーの個人の体験や思いを、ありのままに伝えることが、私たちらしい最良の方法だという結論に至りました。
会を立ち上げるにあたって、2年という長い時間がかかってしまったことを反省しつつも、同時に、不安と迷いの中で数々の決断を下して辿ったプロセスが、私たちの今後の原動力となることを確信しています。
これまで私たちは、あくまでも個人的な活動として、ハルツーム特殊教育省への点字板の寄付などといった散発的な支援活動を行ってきました。しかし、これだけではやはり効果的な支援を行うことが大変難しいことが分かってきました。
団体として会を立ち上げるにあたって、メンバー同士でさまざまな議論をしてきました。意見の対立から生じる不和の危険もありました。しかし、意見が違っても、私たちが目指すゴールは同じだということ、メンバーの誰もがしっかりこのことを分かっていました。多くの議論を重ねてきたおかげで、私たちは会の設立を決定し、今年の3月に任意団体としての会を立ち上げることができました。
私たちが目指すのは、スーダンにおける障害者の社会への完全な参加と平等の実現であります。
ダルフールの人道危機に象徴されるように、紛争など多くの問題を抱えるスーダンで、なぜ障害者教育という分野を選んだかという疑問がきっと沸いてくるでしょう。それよりも重要で緊急性の高いものがあるはずだという指摘を何度もいただきました。
しかし、私たちは、国際社会から光を当てられることの少ない社会の弱者である障害者の問題だからこそ、当事者として引き受ける義務があるように感じています。人間の安全保障の観点からも、スーダンのように社会福祉の充実していない国では、やはり社会の弱者といわれる人々がいかに社会に参加するかが重要になるのです。昨年の国連総会で採択された障害者の権利条約は、私たちに勇気を与え、会の設立への一歩を後押しするものでした。
障害者の完全な社会参加と平等という目標を、私たちは当事者として引き受けます。私たちは、教育こそが、障害者に力を与え、未来を実現する原動力を生み出すと信じています。そして、私たちは、究極の目標に向けて多くの方々と手を携え進んでいく決意をここに新たにしました。
こうして、私たちの活動を知っていただくため、また、私たちの決意を表すための冊子が完成したことに、私は感動を禁じえません。この冊子の作成に当たって、中心的に動いてくださった、我が会の会員、福地さん、伊元さん、池田さんに感謝の気持ちを表したいと思います。
また、この冊子の作成をご助言くださったアフリカ日本協議会の斉藤様に、心からのお礼の言葉を申し上げます。そして、事務所を提供してくださった理事の大森様に厚く御礼申し上げます。
まさに、みなさまのご指導、ご助言なしには、私たちの会は動き出さなかったと言っても、過言ではないでしょう。
今夏私たちは、NPO法人格を申請することができました。スーダン障害者教育支援の会という会はできあがりました。生まれたばかりのこの会を、どう育て、いかに効果的な支援活動を行うのか、今後の私たちの課題だと認識しております。今後とも、みなさまのご指導、ご助言を賜ることを切に願うものであります。
私たちに課せられた責任の重さと高鳴る期待を胸に、新たな一歩を踏み出したいと思います。
2007年8月東京にて