特定非営利活動法人 スーダン障害者教育支援の会

Committee for Assisting and Promoting Education of the Disabled in Sudan (CAPEDS)

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スーダンにおけるブラインドサッカー普及プロジェクト
 
作成者:モハメド・オマル・アブディン
 
 
 
プロジェクト名:ブラインドサッカー普及プロジェクト
実施場所:スーダン共和国ハルツーム州
実施期間:2007年月1日から2007年9月22日
実施目的:
1.スーダンの視覚障害者にブラインドサッカーを紹介し、希望する視覚障害者と障害者以外の人々を対象に講習会を行う。
2.スーダンのサッカー協会およびスーダンフットボールアカデミーの関係者にブラインドサッカーを紹介し、協力を要請する。
 

【プロジェクト概要】
 フットボールアカデミーの関係者とミーティングを行い、ブラインドサッカーに関するセミナー、あるいは講演会を主催していただけるよう要請し、それが成功すれば講演会を実施し、その後、講習会を開く。さらに、スーダン唯一の盲学校であるエルヌール盲学校において、講習会、または説明会を検討。

【実施内容】
Ⅰ.エルヌール盲学校において、ブラインドサッカーの説明会の実施

 
 9月9日(日)に、エルヌール盲学校において、ブラインドサッカーの説明会を行った。エルヌール盲学校の窓口になってくれたアジャミー先生との打ち合わせにおいては、説明会を行った後、簡単な講習会も実施することを話した。
 当日の朝、先生から連絡が入り、スポーツ担当の先生が身内に不幸があり説明会に来られないため講習会を実施するのを今度にしてくれませんかという報告を受けた。そのため予定していた講習会をキャンセルし、説明会のみを実施することになった。
 説明会は放課後に行われ、約25名の小学生が出席していた。クラスがばらばらではあったが、クラス別の出席人数に関する詳細なデータは不明である。

【説明会の内容】
 まず、ブラインドサッカーのボールをまわし、全員に触ってもらった。その後、「サッカーが好きな人は手を挙げてください」とこちらから頼むと、全員が熱狂的に手を挙げてくれた。そこで、ブラインドサッカーとはどういうスポーツであるか、どこで始まり、現在どういう大会があるかについて話した。最後にルール説明をし、質疑応答に入った。対象は小学生なので難しい質問は出ないだろうと思ったが、意外とみんなサッカーに詳しく、レベルの高い質問が次々と出てきた。その一部を紹介すると、「ブラインドサッカーでは、オフサイドがあるのか?」「地面は土なのか?」「はだしでやるのか?」「周りがうるさかったらどうするのか?」「交代要員はどうなっているのか?」「ファールのとり方はどうなっているのか?」などの質問が出た。生徒たちのサッカーへの情熱が伝わる質疑応答コーナーであった。その後、盲学校に3個のブラインドサッカーボールを寄付し、説明会は約1時間で終了した。


【成果】
1.エルヌール盲学校の生徒たちにブラインドサッカーを紹介できた。
2.生徒たちの質疑応答を通じて、生徒たちがブラインドサッカーをイメージできたことを確認できた。
3.説明会が終わると、生徒たちから素直に「ブラインドサッカーをやりたい」という発言を聞くことができた。
4.エルヌール盲学校でのブラインドサッカーの持続的な活動を保障するため、第一フェーズとして3個のボールを寄付した。

【課題】
1.講習会ができなかったこと。
2.体育担当の先生にブラインドサッカーの説明をする機会がなかったこと。
3.学校の時間内に体育の時間が組み込まれていないエルヌール盲学校の状況に失望しつつも、改善を訴えられなかったこと。

【プロジェクト後】
 今回エルヌール盲学校での説明会を実施して一番感じたことは、生徒たちの「ブラインドサッカーをやりたい」という気持ちであった。しかし、上述したように、エルヌール盲学校には体育の時間も体育の先生もいない。運動は週2回行われることになっているが、それもつい最近始まったプロジェクトで、担当者はスポーツをやっていたが専門性はなく、ボランタリーな形でやっているエルヌール盲学校職員のパートナーである。そのため、彼が欠席をしても誰も文句が言えない状況だという。ブラインドサッカー説明会の当日に彼が休んだことを考えると、これから運動の時間が継続的に行われていくことは非常に厳しいと考えられる。
 しかし私が盲学校の卒業生に聞いた情報によると、寮に入っている生徒たちが毎日夕方、ペットボトルに石ころを入れてサッカーをやっていたという。そこから生徒たちにサッカーをやりたい気持ちがあるということがわかる。今後運動できる体制さえ整えば、ブラインドサッカーは短期間で普及していくのではないかという印象を受けた。
 
 

Ⅱ.ブラインドフットボールアカデミー

 
 エルヌール盲学校での説明会の前日に、スーダンサッカー協会附属のフットボールアカデミーの事務局長とミーティングを行った。

【内容】
実施日:2007年9月8日<土>
場所:スーダンフットボールアカデミー
 このミーティングの主な目的は、スーダンサッカーの顔ともいえるフットボールアカデミーの関係者にブラインドサッカーについて知ってもらい、技術的、金銭的サポートを要請することであった。イッザッディーン事務局長とは約1時間のミーティングを行い、ブラインドサッカーの生い立ちやルールについて説明し、北岡さんというカメラマンに作成していただいた紹介ビデオを見せ、協力を要請した。事務局長がブラインドサッカーに大きな関心を示してくれたことは、このミーティングの大きな収穫であった。さらに、私がお願いしようと考えていた講演会の実施を先方から申し出てくれたことは、非常に良かったと思う。

【講演会】
 ミーティングでブラインドサッカーに関する講演会をすることが決定し、講演会は3日後の9月11日に予定された。事務局長が場所の提供とマスコミへの呼びかけをやってくださるとのことであった。講演会の当日、会場に予定より25分前に到着したが、受付には私が招待した一人の日本人留学生しかいなかった。不安を隠せずにいた私に対し、その留学生は「だいじょうぶだよ。みんなスーダン時間でくるんだ。」と励ましてくれた。しかし、開始時間5分前になっても誰も現れない。事務局長のオフィスに行くと、事務局長はゆったりしたムードで「どうぞどうぞ」とお茶まで入れてくれた。
 残念なことには、事務局長はマスコミに呼びかけることを忘れたようだ。しかし、スーダンパラインピック協会の副会長や旧スーダン代表の選手、サッカー協会の事務局長補佐、サッカーのテレビ実況放送のアナウンンサー、スポーツ省のフットサル担当者などには声をかけてくれた。幸いにこれらの方々は講演会に出席してくださり、8名の視覚障害者と合わせて約20名が出席してくれた。


【講演会の内容】
 まずブラインドサッカーの生い立ちから始まってルール説明などにも触れ、プロジェクターをPCにつないでプロモーションのビデオを見せた。その後CAPEDSの説明をし、ブラインドサッカーの普及をサポートしていただけるよう要請した。
 その後の質疑応答では、ブラインドサッカーの組織化と直属機関が問題となった。最後に私から旧スーダン代表のザキさんにビデオを見てのご感想をお願いしたが、「ブラインドサッカーはフィジカルと個人技は最も大事な気がする」という非常に分析的な回答を頂いた。おそらくプロモーションビデオにおいては、ブラジルの得点シーンが目立ったためにそういう発言をされたのではないかと思う。
最後に、スポーツ省のフットサル担当者から「出来ることはやるので、どしどし頼んで下さい。会場を押さえることなど、いつでもいってください。」との前向きなお返事をいただいた。
 
 

Ⅲ.ブラインドサッカー普及会
 
 11日に行った普及会の翌日から9月12日、14日、19日と、のべ3回の普及講習会を実施した。会場は、スーダンバスケットボール協会の屋外グラウンドで、3回とも夕方に行った。

【内容】
12日
時間:17時~20時
出席人数:視覚障害者12名、晴眼者3名
内容:ジョギング、基礎練習、1対1、ゲーム形式

14日
時間:その日からイスラム教徒が断食をするラマダンに入り、練習を20時から21時半までに変更した。
出席人数:視覚障害者12名、晴眼者5名
内容:ジョギング、基礎練習1対1、ゲーム形式

19日
時間:20時~21時半
出席人数:視覚障害者11名、晴眼者4名
内容:ジョギング、基礎練習、1対1、ゲーム形式

【講習会の成果】
1.フットサルが大変盛んになり会場を押さえることが難しいラマダンの時期に、3回の講習会を実施できたこと。
2.のべ12人の視覚障害者と6名の晴眼者に対して講習会を開けたこと。
3.練習を重ねるごとに、選手が上達していくことがわかったこと。
4.スーダン初のチームの基盤づくりができ始めたこと。

【課題】
1.スーダンでは、日本のようにフットサル場がそれほど多くない。学校の体育館という概念もなく、しっかりとしたフットサル場は3つほどであるため、これからはどのようにして会場を押さえるかが大きな課題となること。
2.講習会に出席した視覚障害者の80%が運動不足で、ジョギングを始めて5分でやめてしまう人もいた。そのわりにゲーム形式になるとみんな出たがるため、やはり厳しい基礎練習つんでいかないとすぐに上手にはならないと思う。講習会において楽しい基礎練習を思いつかなかったことは私自身の大きな反省点である。
 
 
 
 

【プロジェクト全体の評価】
 今回のプロジェクトを実施し、成功した点や失敗した点がそれぞれあるのだが、キックオフとしてはまずまずの滑り出しになったと思う。
 スーダンサッカーのトップレベルの関係者と接触できたこと、25名の盲学校の生徒を対象に説明会を開くことができたこと、12人の視覚障害者と6人の晴眼者に対して3回の普及講習会を実施できたことは、今後のスーダンのブラインドサッカーの基盤となる活動であったと思う。
 一方、ブラインドサッカーの組織化といった点に関して、ブラインドサッカー協会を作るべきか、パラリンピック協会の活動のひとつとして扱われるべきかはいまだ解決できていない問題である。組織作りはある活動を持続的に普及していくのに必要不可欠である。今後、こういった問題がクリアーになれば、もっともっとブラインドサッカーの普及ができるのではないだろうか。